心からの尊敬
水色に染まったゴール裏。
そこに集う者が皆タオルを振り回す。
波を打つように目の奥に飛び込んでくる。
ジュビロ磐田の応援席。
いつしかこの光景に心奪われていた。
ジュビロ磐田は私が好きなサッカーチームだ。
所属している選手が好き。
チームカラーも好き。
ホームスタジアムも好き。
愛着しかなくて、もはや、この好きな気持ちをなんて表現したら良いか分からない。
言葉にしようものならどうしても安っぽくなってしまう。
さて、ここまでジュビロ愛を述べてきたけど、昔から試合を見続けて、多少なりとも目が肥えてきたと思っている。
試合を見てる時も、
「あー、今ここに出したら良いのに!」
とか、
「シュートは枠に飛ばせよ」
なんていうことを言うようにもなった。
小学校の3〜5年生の時にサッカーの経験がある私は、多少経験があるというだけで上から目線になっていたのだ。
自分にできるかわからんことを上から目線で発言するのはおかしいんじゃないか?
そう思った私は、社会人のサッカーサークルを調べ、知り合いなど全くいない環境でサッカーをしに行った。
10年ぶりにちゃんとサッカーをする。いや、小学校の頃は遊びのようなものだったからちゃんとサッカーをするのは初めてかもしれない。
私が行ったサークルはいきなり試合をした。
アップは軽くしかしていない。年齢が自分より2倍くらい上の人もいる中で試合が始まった。
始まって3分。
ボールを追って走り回ってバテた。
45分ってマジか??
プロの試合は45分。
それよりもずっとずっと低い強度の試合で3分でバテた。
まず、1尊敬。
結局、最初のミニゲームみたいなものは10分程度で終わったのだが、次はコートが広くなった。
人も7対7でやっていたのが、10対10になった。
応援席から見るピッチは全体を見渡せて、小さく見えていたが、実際にピッチに立つと広い!
本物のサイズよりは小さいかもしれないけど、それでも広い。
このサイズになってからはポジションに着くようになった。
始めに入ったのは右サイドバック。
ポンポンとバウンドするようなパスが来てトラップ空振りを3回ほど。。
41尊敬はしたなぁ。
また、ポジションを与えられると、常に良いポジションを取り続けるのがすごく難しいかった。
相手を見て、中に絞っておくか、サイドに張るのか
味方を見て最終ラインを常に揃える
これを同時にこなすのは初めての経験で、いつも簡単そうにやってる人ばかり見てたから驚いた。
めっちゃ難しいことしてたんだ。
サイドバックの攻撃参加とかは試合を見てる時には何度もやってるけど、いざ自分となると守備に専念するだけで精一杯。
次はセンターバックをやった。
この時にはもうすでに自分の技術のなさが十分に伝わっていた。
ボールが全く回ってこない。
本当お邪魔してすみませんって気分だったが、最終ラインを揃えるだけでも面白かった。
プロは最終ラインを揃えるだけじゃなくて、パスを出す直前にラインを上げてオフサイドを取るなど、相手と駆け引きをする。
無理無理無理無理。
DA PUMPのif…以来の四連続無理が出ました◎
なかなか揃わんし、揃えるだけで精一杯。
おまけに、攻められてゴール前までダッシュして、ジャンプしてヘディングでクリアをしたら足攣りました。
突然やって来た見知らぬ下手な人間が足を攣る。
なんと迷惑をかけるのでしょう。
ヘディングのクリアも全然飛ばない。全くイメージしていたものと違う。
プロはすごい。
141.4尊敬した。
最後は1トップ。FWをやらせてもらった。
初めてサッカーを見たとき、心を完全に奪われたのが中山雅史選手。FW。
憧れの人と同じポジションをできる!
それだけですごく嬉しかった。
でも、一番ゴールに近いのにボールは全然回って来ない。
頑なだなぁ。と思った。
最初は相手の最終ラインを見て、裏に抜ける動きばかりをしてしかけてたんだけど、ロングボールとか、スルーパスをほとんど使ってなかったので少し降りてみた。
すると、
「ああ、こいつにしかパス出すコースない」
って時に限ってパスが来るようになった。
これは自分が今良い位置にいるのかどうか分かるぞ
そう思いながら相手と相手の間にポジションを取って、多少トラップミスしてもボールを奪われない位置にいるようにした。
結局シュートは0。
スルーパスを1本通して、相手GKと1対1の状況を作り出したけど、味方が外した。
おい、あれは決めろよ
口からこぼれそうな本音はきちんと抑えた◎
自分がサッカー経験者に対しても多少通用する部分はあると思えたことがすごく嬉しかった。
そして、FWの試合で、右太ももを強く攣った、
絶対アップ不足だわーと後悔しつつも、サッカーの難しさを体感できたこと、貴重な経験ができたと思う。
実際の苦しさ、しんどさを知ると苦言なんて言えないなと感じた。
試合見てたら多分言ってしまうけど^^;
飛び入り参加させてもらったサークルからは技術的に加入は厳しいと言われた。
自分でもそう思う。
いつか別のチームに入って上手くなって、このサークル倒したらめっちゃ気持ち良いんだろうななんて密かに思う。
そして、プロのすごさはサッカーを体験してより強く刻まれた。
そして、ジュビロ磐田を心から尊敬する。サッカーを生業にしている人を心から尊敬する。
これからもこのエンターテインメントを存分に堪能しようと思う。