水色でオレンジを包みたい

4月14日、このためだけに神戸から静岡県浜松市に帰省した。

 

ジュビロ磐田vs清水エスパルス

15:00 kick off. @エコパ

 

私が愛してやまないジュビロ磐田というサッカークラブの試合だ。しかも、ホームで。相手は同じ静岡県に本拠地を置く清水エスパルス静岡ダービーである。

 

サックスブルーのユニフォームを纏うジュビロ磐田とオレンジのユニフォームを纏う清水エスパルスの試合は、緑のピッチによく映える素敵で熱い試合になる。

 

オレンジのものを見るだけでメラメラするように育てられた私にとって、この宿敵との対戦は片道新幹線で2時間、1万円弱かけたとしても見る価値があると思える試合だ。

 

小学生一年生である2003年に、初めて家族にスタジアムに連れてもらって以来、僕の心を鷲掴みにして離さない。負けが続く時も変わらず応援してきて17年目。ついに媒体を通すことなくオレンジと戦うことができる日が来た。

 

清水エスパルスは6試合終わって、0勝。2分4敗で最下位に位置していた。ジュビロ磐田は1勝3分2敗で、どちらも本来の力を出せていないシーズン序盤である。

 

どちらも宿敵を飲み込んで今シーズンの巻き返しに弾みをつける絶好のチャンスだ。

 

そして、水色のユニフォームを身に纏った私はゴール裏からオレンジを包み込む、飲み込むために声を荒げる。

 

決起集会の時点で声が枯れ始め、練習の時にはさらに声が枯れた。試合が始まる前に声が殆ど出なくなる。これがいつものスタイルである。

 

選手登場、選手紹介の時には、アウェイチームに対してブーイングが浴びせられる。人が出てきただけ、人の名前という特定の音が鼓膜を振るわせただけでブーイングが起こるので、異様な雰囲気だった。

 

ピリピリとした緊張感に包まれた中で試合が始まった。

 

前半は決定機もあったが、決めきれず、逆に相手に決められてビハインドで折り返す。

 

後半、ミスから再び失点するが、選手交替を機にリズムを掴み始める。

 

押せ押せムードになった我々は一点を取り返す。

 

2点を先行され、敗色ムードが漂い始めたサポーターに希望を与えるゴールが突き刺さった。

 

そして、それから間もなく、お決まりのチャント(応援歌)が始まる。

 

 

 

ここから始まる

磐田の反撃

みんなで勝たせよう

俺たちの声で

 

 

 

ビハインドで流れるので、「お決まりの」とか「よく聞く」となるとなんだか悲しい気もするのだが、このチャントはすごく一体感を感じさせる力がある。

 

水を得た魚のように勢いを取り戻したジュビロサポーターは地鳴りにも似たような応援を選手に届ける。

 

選手もそれに応えるかのごとく、相手ゴールへと押し込む。

 

この一体感を味わった私は、このチームが好きだと心の底から思った。

 

結果は1-2で敗北。

 

ダービーでの敗戦は屈辱を意味する。

 

表現しがたい悔しさと喪失感で立ち尽くしてしまった。

 

サポーターは選手にブーイングを浴びせる。

 

これが勝負の世界なのか。自分の愛するチームに対してブーイングを浴びせる。自分たちを愛してくれる存在を失望させてしまった。これをバネにより多くの歓喜をサポーターに届けてくれることを願うばかりである。

 

 

私はこれからもジュビロ磐田を応援する。

 

そして、水色がオレンジを包み込む瞬間をこの目で見る。