卒業式
カタッ、カタッ、カタッ、カタッ。
明らかにサイズの合ってない革靴を履く僕の足音は街に響き渡るほど大きく鳴っているように思える。
足取りは重い。
サイズの合わない靴のせいか、大学4年間でやり残したことへの後悔のせいか。
やり残したことで真っ先に思い浮かぶのは、友人関係である。
僕は元々仲良くなっても気を遣ってしまうところがあるから、初対面はなおさら気を遣う。
悪いことではないが、疲れる。
そのせいか、一人でいることを好むことが多かった。
すると、こんな場面に出くわす。
2人組を作りましょう。
グループで話し合ってみましょう。
あれ?一人でいることも疲れる。
まあ、話したくないわけではないし、話してみるかと思って話していると案外楽しい。
そして、話しているとあまり気を遣わなくなっていることに気がつく。
なんだ!人といることって思ったほど疲れないじゃん。
これに気がつくまでは長い時間を要した。
僕の大学4年間でやり残したこと、それは、人と一緒に時を過ごしてみること。
今でも、人に対して気は遣う。
話しているときに相手が笑っていないと楽しくないかな?って思ったり、一緒にいて楽しませられてるかな?って思ったりする。
何者だよ笑
もちろん、話してて笑ってくれたら嬉しいし、自分といることで相手が楽しいならこれに越したことはない。
ただ、クソ真面目にこれに固執する必要もないなと思うようになった。
別に気を遣うことは悪いことじゃないと思うから、気を遣ったことを責めることはしない。
ただ、もっと楽でいい。
一人でいることで疲れることが多い。誰かと一緒にいても疲れることが多い。でも誰かといたら疲れを分け合うことができるかもしれないし、楽になれることもある。
誰かと一緒にいて、疲れたら一人でいて、疲れたら誰かに頼ればいっか。
僕は「○○でなければならない」って考え方を捨てるだけで心がフッと軽くなった。
大学4年間、いや、それよりもっと前からかな?長い時間を要したけど、このやり残した感覚を得ることで、次の自分がしたい振る舞い方が少しずつ見えてきたように思える。
単位を無事に取ることができたので、4年で学士の称号を獲得することができた。これによって卒業できることになった訳だが、同時につまらない固執からの卒業もすることができそうである。
ついでに、サイズの合わない靴からも卒業するために洋服の青山でも行こうかな。